2022年最初の野焼き支援[4日目]YYGsと一緒に久住登山にチャレンジ、しかし…
この日の午前中は雪が降るものの、午後からは回復し、晴れ間が出る。それが、昨日段階での九重周辺の天気予報だった。
その通りならば、霧氷も見られるし、遅くとも午後には青空バックの美しい写真が撮れるハズだ。
期待は膨らんだが、2日前の由布岳の疲れが癒えていない。YYGsは元気に登るだろうが、私は同じペースで登る自信がない。どうするのが望ましいのか…。たぶん彼女らは久住山だけでは飽き足らず天狗ヶ城や中岳にも登るだろう。御池の氷上ウォークも楽しむに違いない。ならば初めから別行動にしておいて、私は久住山往復、余力があっても御池を回るぐらいにして、先に下山する方が良いだろう。
登山前は、そのような心積もりでいたのだ。しかし、実際には当初の想定と大きく異なる現実が待っていた。楽観視しすぎていたのだ!
2022年2月20日(日)の行動履歴
朝倉市、大分県、熊本県 <徒歩移動> 10.9 km 5時間46分 <車移動> 111 km 4時間54分 くじゅうエイドステーション 6:17 ↓ 車- 10.5 km 24 分 やまなみハイウェイ/県道11号 経由 牧ノ戸峠駐車場 6:41~7:22 ↓ 徒歩- 4.2 km 1 時間 55 分 久住山避難小屋 9:17~9:38 ↓ 徒歩- 650 m 24 分 久住山避難小屋 10:02~10:33 ↓ 徒歩- 1.8 km 59 分 久住山避難小屋 11:31~12:26 ↓ 徒歩- 4.3 km 1 時間 27 分 牧ノ戸峠駐車場 13:54~14:13 ↓ 車- 3.7 km 22 分 やまなみハイウェイ/県道11号andぐるっとくじゅう周遊道路/国道442号 経由 ヒゴタイ公園駐車場 14:35~14:48 ↓ 車- 16.1 km 26 分 ぐるっとくじゅう周遊道路/県道669号 経由 万象の湯 長湯温泉歴史伝承館 15:14~16:55 ↓ 車- 500 m 5 分 ぐるっとくじゅう周遊道路/県道30号 経由 コロナド飲泉所 16:59~17:05 ↓ 車- 1.2 km 3 分 道の駅 ながゆ温泉 17:08~17:10 ↓ 車- 300 m 1 分 ガニ湯 17:10~17:15 ↓ 車- 7.6 km 20 分 ぐるっとくじゅう周遊道路/県道30号 経由 今水炭酸泉 17:35~17:50 ↓ 車- 14.8 km 29 分 ぐるっとくじゅう周遊道路 経由 ヒゴタイ公園駐車場 18:19~18:21 ↓ 車- 2.0 km 12 分 国道442号 経由 瀬の本レストハウス 18:33~18:40 ↓ 車- 2.0 km 13 分 国道442号 経由 ヒゴタイ公園駐車場 18:53~19:01 ↓ 車- 43.1 km 1 時間 32 分 やまなみハイウェイ/県道11号 and 国道57号 経由 道の駅 あそ望の郷くぎの 20:33~20:37 ↓ 車- 4.8 km 8 分 県道28号 経由 熊本ゲストハウス リトルアジア南阿蘇 20:46~20:54 ↓ 車- 4.8 km 9 分 県道28号 経由 道の駅 あそ望の郷くぎの 21:03
くじゅうエイドステーション
いつもより眠りが浅くなっていたようだ。途中、何度も目が覚めた。朝6時に出発予定だったので、寝坊しないかと緊張していたのだろう。
そして、仮にきちんと起きられたとしても、道路は凍結していないだろうか、牧ノ戸峠までトレーラーを牽引したまま、安全に登れるだろうか…とか。着いたら着いたで、トレーラーを繋いだまま、駐められる駐車区画が残っているだろうか…とか…。
次々に不安材料が頭をよぎっては消える…。
5時頃に目が覚めたとき、管理東横のトイレに行こうと服を着替えたのだが、焦る気持ちで登山時の服装に着替えてしまったほどだ…。
しかし、用を済ませてトレーラーに戻ると、冷静になったのか、まだ完全に起きるのには早すぎるということに気が付く。
再度、ベッドに横になった…。目をつぶり、じっとしたまま、時の過ぎるのを待つ…。
5時45分頃になってLINEをチェックすると、
「管理棟でお湯が沸くのは6時過ぎなので、出発は6時15分頃に遅らせて欲しい。」
とのHさんからのメッセージが届いていた。朝食にカップラーメンでも食べてから出発しようとでも思っているのだろう…。もっと早めにチェックしておけば良かったのだが、
「お湯ならトレーラーで湧かせるよ。今から湧かすので10分後に取りに来てください。」
と返信した。
そして、ほぼ想定通りの時間になって、お湯が沸いたので、
「どうぞ、取りに来てください。」
と、再度LINEすると、
「今ですか?ちょっと待ってください。」
と返信が来た。間もなく、6時になる頃だ。これだと、管理棟のお湯を待ってても大差ない時間になってしまった。
しかも、よくよく聞いてみると、カップラーメンのお湯だが、出発前に使うのではなく、水筒に詰めて、山頂で食べるために持っていくものだそうだ。
そうだったのか…。そういえば、一昨日の由布岳西峰でも、山岳ガイドの二人連れは、山頂でカップ麺を食べていたが、その場でお湯を沸かしている形跡はなかった…。
今や山頂でのカップ麺は、熱湯を水筒に入れて持っていき、それをカップ麺に注いで食べるというスタイルに変わっていたのだ。目から鱗だ。
私の頭の中では、水筒のお湯なんて、保温能力が足りず、カップ麺になど利用できないと思い込んでいた。当然、現地での沸かし直しために、飲料以外の余計な水だけでなく、シングルバーナーとガスカートリッジ、それにやかんを装備に加えなければならない。荷物も増えるし、現地での手間暇も掛かる。そう思い込んでいた。
なので、私は山頂カップ麺を諦めて、弁当で…、という結論に落ち着いていたのだ。
それにしても、最近の水筒はそれほどまでに保温性能が高まっていたのかと、品質向上の際限のなさに驚愕した。「なんだ、お湯とカップ麺だけ持っていけば良かったのだ…。」
そのような思いに駆られながら、彼女たち2人分のお湯を沸かしていたら、出発時刻は15分ほど遅れてしまった。
いよいよ出発だ。黙って消えるのは気が引けるので、女将さんを玄関先に呼び出して、出発の挨拶を交わした。
女将さんも、今日の冷え込みを考慮して、少しでも早い出発を勧めていた。
「休日のこんな日には、かえって霧氷を見るために多くの人がやってくるので、駐車場は早めに埋まりますよ。」
と…。確かに、トレーラーを引いているので、どこにでも駐められるというわけではない。他の人に迷惑をかけないためには、駐車場の一番奥の隅っこに駐めるしかないのだ。ということは、女将さんの言うとおり一刻も早く出る方が良いだろう。
「そうですね…。では、これから出発します。お世話になりました。」
女将さんに見送られながら、6時17分にくじゅうエイドステーションを出発した。
やまなみハイウエイを南下し、長者原を過ぎて、牧ノ戸へ向かう。車道には雪があったが、まだタイヤに踏み固められてないので、チェーンなしでもグリップは効いた。ゆっくり走れば、滑ることはなさそうだった。不安材料はひとつ、またひとつと消えていき、あとは駐車区画があるか?…だけになった。
↓ 車- 10.5 km 24 分 やまなみハイウェイ/県道11号 経由
牧ノ戸峠駐車場
に到着したのは、6時41分。まだ、駐車場はガラガラ状態だった。駐車を予定していた一番奥の隅っこに無事駐めることができた。
想定していた駐車区画を確保できれば、こっちのもの。あとは慌てなくても大丈夫。天候をよく見て、適切な時間に出発すれば良い。
ただし、私は彼女らよりは先に出発する必要がある。早めに登って間を広げていないとすぐに追い付かれてしまうだろう。
車を降りて、登山靴に履き替える。そして、アイゼンを装着する。そして、牧ノ戸登山口に向かっ手歩いた。7時22分だ。先に出発しようと思っていたのに、登山靴を履くのにもたもたしているうちに先を越されてしまった。
登山口の建物前には、今から登ろうとする人達が何人か集まっていた。彼女たちもそこにいた。駐車場には車が数台駐まっていたが、まだゆとりがある。
雪は結構激しく降り続いている。天気予報がにわかに信じられなくなるほどの降りだ。果たしてほんとうに午後から回復するのだろうか…。
でもまあ、そんなことを心配しても仕方が無い。私は人々の間を抜けて、登山口に向かい、彼女たちよりも先に登山を開始した。
展望所までの最初のうちは、階段が続く…。
さすがに雪が降り積もるような日曜日。つぎから次へ登山者が登ってくる…。5人ぐらいでゆっくりと登っているグループに続き、単独行の山ガールが登ってきた。4~50代?登り慣れているのだろう、全体的に余裕が感じられる。
会話を交わしながら、歩いている内に、この方は日本風景写真協会員であることが判明した。
枝ではなく、岩に付く霧氷を狙っているのだそうだ。
以前、南小国町の押戸石の丘で出会った日本風景写真協会大分支部の方を思い出す。あの方も朝早くから、押戸石の丘に三脚を据えて、寒い中、シャッターチャンスを狙っていた。
この女性も、過酷な冬山に登り、出会えるかどうかわからないターゲットを探し求めているのだ。皆、抱いた夢を実現するために、過酷なチャレンジを重ねている。
3月上旬に佐賀で、仲間と個展を開くそうだ。時間が合ってタイミングが合えば訪ねてみたいという気になった。
それにしても、喋りながらの登山は結構堪える。普段は、クルマばかりに頼って、ろくに歩いてもいない。ただでさえ、登山時は身体が通常以上の酸素を要求して、息が荒くなってしまう場面なのに、女性との会話が加わると、なお一層、呼吸が激しくなる。
だからといって、ぜいぜいと息を弾ませて良いわけでもない。そこには、タフさとスマートさがなければならないのだ。
なぜ、そうしてしまうのかはわからないが、そういうものだ…。
岩に霧氷が付いている…。しかし、この岩程度の霧氷じゃないだろう。彼女の頭の中にあったイメージは、どういっただったのだろうか?
枝には、しっかりとした霧氷が付いているのだが、岩にはちょっとだけ…。
↓ 徒歩- 4.2 km 1 時間 55 分
久住山避難小屋
に入ったのは、9時17分。2020年11月にリニューアルされた新しい避難小屋だ。入口から入ると、最初の部屋は中央にテーブルがあり、それを囲むように奥と右側のL字型に長椅子が配置されている。そして、左側のもうひとつの部屋に入ると、正面奥と左側は板張の間になっており、コの字型に座れるようになっている。
入室時は、どちらの部屋もほぼ満席状態で、テーブルの上にリュックを下ろし、立ったまましばらく休憩した。
避難小屋には次から次に登山者が入室してくるが、それはそうだろう。外の天候は、一向に回復しないばかりか、逆に少しずつ厳しさが増しているようだった。
室内に入って20分ほど経過した。立ったままなので休まった気がしない。それだけでなく、歩いていないせいで、身体が段々と冷えてくる。
そうなら、いっそのこと外に出て、歩いた方が良いような気がする…。
9時38分、ひとり外に出た。そしてとりあえず、中岳方面へ歩き出した。
↓ 徒歩- 650 m 24 分
しかし、外に出てみると、寒さが身にしみる。半端ない寒さだ。耳の上の方と両手の指先が異常に冷たくなり、痛みが走る。それとともに触覚は鈍くなり、しびれが激しくなっていく。このままで大丈夫なのかと不安がよぎる。
というか、今日付けている手袋は、安価な作業用手袋で、防寒を目的としたものではない。
慌てて手袋を脱いで、両手をこすってみるのだが、まったく改善しない。今度は両手首の袖口のボタンを外し、そこから左右の指先を反対の袖口内部に突っ込んで温めてみる…。
昔の事を忘れただけなのかもしれないが、これまでの人生で帽子や風防をかぶらないととても乗り越えられないような過酷な寒さを味わったことはないように思う。
これまではそれで生きて来れたわけだから、他の人はどうであれ、私には不要だと高を括っていたのだ。
しかし…、登ってくる途中で挨拶を交わした人のほとんどが例外なく「大丈夫ですか」と声をかけてきていた。
袖口近くの腕に指先の冷たさが染み渡るが、指のしびれや痛みは和らがない。今まで味わったことのない危機的な状況に思えた。壊死してしまうんじゃないかとの不安が脳裏をよぎる。果たしてこのままで本当に大丈夫か…。さすがにここまで冷え込まれると、防寒用の手袋と風防は必要だと初めて認識した。
それでも、下山せずに先に進もうとしているのは、去年の記憶が背中を押しているせいだ。去年の登山では、登山道に雪はあったが、ここまで寒くはなかったので、歩いていれば暖まった。霧氷はほとんど見られなかったが、空は真っ青に晴れ渡り、御池の氷の上を歩けて、冬山の風景の美しさに感動したのだ。
今回も午後からは日が差して、青空が広がる予定だった。しかしながら、現時点ではまったく改善していない。果たしてこのまま進んで意味があるのだろうか…。
御池は凍っているに違いないが、たぶん氷上には雪が積もっているだろう。だったら、単なる雪原になっているだけではないか! この辺りの風景と大差ない。それに、霧の影響で周囲の山も霞んでいるか、あるいはまったく見えないか…。
やはり、ここは一旦、避難小屋に戻ろう。そして、天候が回復してから、再チャレンジすればよい。
久住山避難小屋
に戻ってきたのは、10時02分。先ほどよりは、混雑が緩和されたようだ。しばらく入口の部屋で立っていると、テーブル側の席が空いた。
腰掛けるていると、足腰にとっては楽だが、身体が少しずつ冷えてくる。
「食べたら少しは温まれるかも…。」
YYGsのふたりは、途中で出会った本格的な山男2人組と話をしていた。行き掛けには気落ちしていたHさんもめっぽうテンションが上がっていた。やはり頼りになりそうな経験者の話を聞くと心が躍るようだ。しかも、かなり年齢が近い。旅先で何かが始まる予感でもしたのだろうか…。
一方、Mさんの方は、普段通り、淡々としている。感情をそれほど外に出さないタイプのようだ。
私は、こころも身体も冷え切っている…。
この男性2人組。友達同士か兄弟のように見えていたのだが、あとになって聞くと、なんと親子だったのだ。長崎の出身で、お父さんの方はN氏。トレイルランナーだそうだ。息子の方はBさん。しっかりしていて大人びた雰囲気だったが、まだ二十歳前だった。2人とも冬山には慣れている頼りがいのある2人組だった。
Hさんのテンションが上がるはずだ…。
さて、山の状況としては、決して良くないのだが、このまま下山するよりは、行けるところまでいって、そこで判断するということになった。
10時33分、避難小屋を出て、久住方面に進んだ。
先ほどよりも更にガスが濃くなっている。そして、寒さも酷くなっているようだった。実際にどうなのかはわからないが、体感温度は一層低く感じるようになっていた。
風が強いこともあるが、どうやら冬山では、身体が冷えると寒さに敏感になるらしい。
半端ない寒さだ。先ほどよりも激しく指先が痛む。足の動きも遅くなった。風力のため身体がふらつく…。
手袋を外して、指先を温めようとすりあわせてこするがまったく暖まらない。左右の袖口に指先を突っ込んで温めようとするが、腕は冷たさを感じても、指先にはしびれ感しかない。
これは、ヤバい…。
他の4人との間がかなり開いた。
久住分かれの先で、Bさんが待っててくれた。
「大丈夫ですか? ほっぺたも耳もかなり赤くなってますよ。」
「大丈夫かなぁ。指先もしびれているし、耳も感覚が無くなってきて…。凍傷かなぁ…。」
「防寒着がないなら、雨具持ってませんか?」
「ビニールのやつ持っているけど…。」
「じゃあ、それを着ましょう。」
リュックを降ろして、透明のビニール雨具を出した。
左肩の関節が痛むので、ピチピチのレインコートは着にくい。でも、Bさんが、手伝ってくれて、なんとか着ることはできた。しかし、暖かくはならない…。
とりあえず、先を目指した。
山頂まであと100~200㍍ほどのところで、4人が揃っていた。
N氏が
「ここは、気温がマイナス10度。風速が30㍍ほどあるので、体感はマイナス20度ほどあります。寒くないですか?」
ここまで登ったのが不思議なくらい、身体は硬くなり、武者震いも起こるほどだった。
「かなり寒いです。」
「じゃあ、とりあえずこれを着ましょう。」
と言って、N氏は予備のダウンジャケットをリュックから出し、私に着せてくれた。キツキツだったが、なんとか入った。少しだけ寒さが緩和された。
「で、どうされますか?」
「私は、もうここから下山します。」
Mさんが、ホッカイロを呉れた。普段はほとんど使うことがないホッカイロ。使い方がわからないほどだ。何から何まで手取り足取り…。格好悪いことこの上ない…。
「じゃあ、私が一緒に降りましょう。それで、あなた方は?」
YYGsの2人は、山頂に未練があった。
「行けるとこまで…。」
Bさんが2人を連れて、山頂にチャレンジすることになった。私はN氏の付き添いのもと先に避難小屋へ降りた。
↓ 徒歩- 1.8 km 59 分
久住山避難小屋
に着いたのは、11時31分。命からがら辿り着いたといった状況だ。避難小屋の内部は風がないので、少し寒さが和らいだ。Mさんからもらったカイロは首の後ろに付けていたのだが、それを手に取り、指先を温めた。
「指先がしびれています。」
「指の血管が凍ったんでしょうね。」
「凍ったんですか…。壊死したりしませんかねぇ。」
不安になった。ただ、しびれてはいるものの、まだ感覚はある。
「もうなんとか大丈夫です。ありがとうございました。」
と言って、借りたジャケットを返した。
しかし、脱ぐとまた身体が冷えてきた。冬山に登る際は、予備の防寒具に防寒手袋とフードが必須であることを思い知った。
さて、しばらくすると、3人が帰ってきた。
山頂近くでは、強風が吹き荒れていて、危険と判断。山頂までは行かず、途中で引き返したそうだ。
YYGsのふたりは、まだ九重の風景を見ていない。久住山頂だけでなく、中岳や御池にも行きたかっただろう。未練があるようだった。しかし、とっくに昼を過ぎたのに、天候が回復する兆しすら見えない。
12時26分、避難小屋を出て、下山することになった。
外に出ると、さすがにまだ寒い。かなり、敏感になったようだ。しばらくは写真を撮る余裕さえなかった。
眺望も開け、青空も広がってきた!
避難小屋にいるときに、こうなって欲しかった。そうすると、YYGsと山男の4人は久住のあと、中岳にも回って、御池を見下ろす素晴らしい風景を満喫することができただろうに…。
YYGsの2人にはまた来てもらうしかない…。山男の親子は、私たちに付き添って下山したので、これから黒岩山に登るそうだ。
Mさんは、Bさんを明日の阿蘇にさそっていたようだが、今日はどうしても長崎に戻らなければならない用事があるそうなので、明後日の霧島で落ち合うことにしたらしい。
↓ 徒歩 – 4.3 km 1 時間 27 分
牧ノ戸峠駐車場
の車に戻ったのは、13時54分。このときには素晴らしい青空が広がっていた。
車内で少しだけ休憩した後、14時13分に牧ノ戸峠駐車場を後にした。
やまなみハイウェイを南下し、ヒゴタイ公園駐車場に向かった。ここにトレーラーを駐めておいて、長湯温泉に行くためだ。
↓ 車- 3.7 km 22 分 やまなみハイウェイ/県道11号andぐるっとくじゅう周遊道路/国道442号 経由
ヒゴタイ公園駐車場
に着いたのは、14時35分。トレーラーを切り離して、アウトリガーを接地。14時48分に出発した。
まずは、万象の湯を目指す。昨晩のラーメン隼のレシートを提示すると入浴料500円が、なんと200円になってしまうのだ。そんなに割引していいの?って感じだが、折角なのでそこで、今日の疲れを癒やすことにする。
国道442号線に出てからは、しばらく東に向かって走り、くじゅう花公園から左折。そして、県道669号線から県道30号線へと乗り継いで長湯温泉に向かう。いわゆるぐるっとくじゅう周遊道路を走るわけだ。
その途中にある湧水「くじゅう一番水」を案内しようと、駐車場入口の前で車を駐めたが、Hさんは睡眠中。Mさんはそれほど水源に関心が無かったのか、疲れていたのか、それとも、Hさんを気遣っていたのか…
「どうぞ行ってきてください.自分は車で待っておきます…。」ということだった。
私は何度も訪れているので、ひとりで行ってきても仕方が無い。立ち寄るのをやめてそのままクルマを出した。
やはり、いろいろと動く前に、九重登山の疲れを癒やすのが先決…。まず風呂だ!
あとで目を覚ましたHさん、くじゅう一番水の話をしたら、興味を持ったようだ。行きたかったみたい…。
↓ 車- 16.1 km 26 分 ぐるっとくじゅう周遊道路/県道669号 経由
万象の湯 長湯温泉歴史伝承館
には、15時14分に到着した。さっそく風呂の用意をして、温泉棟に向かう。
フロントで昨日もらった隼ラーメンのレシートを1枚提示したら、3人とも入浴料をひとり200円にしてくれた。本来はひとり500円、なんと6割引である。
YYGsと入浴時間を話し合う。16時45分ということで…、約80分間だ。
男湯に入ると、入っている人が多かった。大浴場とは行っても、内風呂とぶくぶく水風呂、それに棚湯方式の露天風呂は、それぞれがそれほど大きくはない。入浴料を大幅割引しているせいか、それとも、泉質の良さに惚れたリピーターが多いのか…。そこに10人ぐらいの入浴客がいたのだ。そうか!単純に今日は日曜日だった。それがたぶん一番の理由…。
洗い場は4人分ほどしかなく、順番待ちが生じる。しかも、この日が特別寒かったせいかもしれないが、長湯できるとは言っても、私にとってこの湯温は低すぎた。
それに、会話を楽しむ雰囲気でもない…。黙浴とは、ほんとうに詰まらない入り方だ。
訪れたタイミングが悪かったのもある。もっと、暖かい季節で人の少ない時であれば、きっと楽しめたにちがいない…。
約60分ぐらいで、風呂を出て、受付辺りのベンチで、ふたりが上がるのを待った。
この効能だと女性は当然、長湯になる。それを踏まえて男性も上がる時間を考えないと、湯冷めする可能性が高くなるので要注意だ。
車に戻ると、前輪の前につららが付いたまま。如何に今日の気温が低いかがよく分かる。
16時55分、クルマを出した。
「この先に、飲用の美味い炭酸泉が出ているところがあるんだよね~~。行ってみる?」
「えっ、美味しいんですか…??」
どうも、わくわく感はなさそうだ。
相手が小学校低学年ぐらいだったら、ワクワクしながら飲泉口に駆け寄って、出ているお湯をゴクゴクと飲む。しかし、次の瞬間「うぇ~~!!まず~~い!」だ。
で、「がはは~~」と笑い話になるのだが…。
「まぁ、とにかく行ってみましょう。」
↓ 車- 500 m 5 分 ぐるっとくじゅう周遊道路/県道30号 経由
桑畑湧水から旧道に入り、少し行ったところにある
コロナド飲泉所
には、16時59分に着いた。道路際にクルマを駐め、ふたりを先に降ろした。そして、クルマを端に寄せて駐め直している間に、ふたりはさっさと飲泉所に上がっていた。
湯を掌で受けて、香りを嗅いだあと、口に含んでみているようだった…。とにかく無言。燥いだり騒いだりは一切ない、ただ淡々と…。心の中では何と思っていたのだろう…。「全然、美味しくない。このおじさん、何がしたかったわけ?…」
まあ、こんな感じじゃないだろうか。聞いてみたわけではないが、きっと当たらずとも遠からじ! 完璧にスベった。
説明板には「温泉は大地のミネラル。これを飲むことは野菜を食べる以上に貴重な健康づくり」とある。
「炭酸泉の飲む効果は、糖尿病がその代表的なものですが、さらに胃酸を中和し、胆汁の分泌を促すので胃腸や肝臓、すい臓の働きを活発にする作用があるとされています。」と続く。
1回に飲む量は、200cc程度。それを1日に3~5回が理想的だと記述されていた。
決して、美味くはないが、それほど健康効果があるのなら… ということで、400ccぐらい飲んでみた。でも、持ち帰るまではしなかった。毎日続ける自信がない…。
裏を覗いたら、この飲泉の成分がどれだけ濃いかを想起させる。地肌が真っ茶色に染まっているのだ。
さてさて…、先に行こう。17時05分に出発。
↓ 車- 1.2 km 3 分
この旧道を更に進むと、長湯の温泉街を通って
道の駅 ながゆ温泉
に繋がっている。17時08分だ。道の駅駐車場を通り過ぎて、温泉療養文化館 御前湯の前の細い道を進んで、長湯温泉のシンボル、ガに湯へ向かった。
↓ 車- 300 m 1 分
ガニ湯
に着いたのは、17時10分ごろ。近くの空き地にクルマを駐めて、見学した。
以前は、この橋の下に脱衣箱が設置されていたと思うのだが、今は説明板しかない。
案内板には「長湯温泉は地域全体の炭酸泉湧出量で日本一」「平均温度46.9度という高温域で記録されている炭酸ガス濃度1200ppmというのも驚異的」「湯舟でもガス濃度は700ppmを維持しており、これは花王の入浴剤バブの7倍」とある。
「炭酸ガスは皮膚から吸収されて疲労回復を助け、飲むと糖尿病や痛風にも効果的」だそうだ。
「とにかく、ゆっくりと湯船に体をあずけてください。夜空の星を友に、せせらぎをBGMに、そして蛍やカジカの鳴き声が旅情をかき立ててくれます。」とあるが、さすがにこの明るい時間では、とうに恥じらいを失ったおじさんでも躊躇する。
手を湯につけてみると、ちょうど良い湯温。今回は、手湯に留めて先に行くことにする。17時15分、出発。
↓ 車- 7.6 km 20 分 ぐるっとくじゅう周遊道路/県道30号 経由
YYGsにどうしても見せたかったのは、こっちの方だ。
今水炭酸泉
温泉街からは少し離れた山の中にある。大船山に登る登山口、今水登山口の手前にある炭酸泉だ。17時35分に入口に到着した。
今回は2度目の訪問なので、迷わなかったが、初めて訪れたときは、降り口がわかりにくかった。道路際のガードレールの切れ目のところから、ひっそりと下に降りていく階段がある。階段と行っても登山道のような道に横木を置いただけの階段、自然歩道だ。
それを50㍍ほど降りていくと、管から透明の水が流れ出ている。これが、天然の炭酸水なのだ。
この水は、天然の炭酸水で、鉄臭さはない。口に含むと美味しい水にピリピリとした細かな炭酸の刺激が感じられる。本物だ!
これで、焼酎やウィスキーを割ったら、美味いに違いない!こっちは冗談抜きに美味しい天然炭酸水だ。
小さなペットボトルに2本程度詰めて、クルマに戻った。そして、17時50分に出発。
さあ、そろそろ南下するとしよう。YYGsの今晩の宿舎は南阿蘇。ゆったり構えすぎると今日も遅くなってしまう…。
↓ 車- 14.8 km 29 分 ぐるっとくじゅう周遊道路 経由
ヒゴタイ公園駐車場
に戻ったのは、18時20分。しかし、トイレに行きたいとの要望がでたので、トレーラーの連結は後回しにして、そのまま瀬の本レストハウスへ向かった。
↓ 車- 2.0 km 12 分 国道442号 経由
瀬の本レストハウス
に到着したのは、18時33分。ここのトイレは新しいし美しい。ただ、17時以降は、女性用トイレは閉鎖され、男性用が共用になる。
18時40分、出発。
↓ 車- 2.0 km 13 分 国道442号 経由
ヒゴタイ公園駐車場
に戻ったのは、18時53分。まもなく19時だ。遅くなった。急いで繋いで、出発したいのだが、こんな時に限ってトラブルが起きる。
アウトリガーを上げて、ヒッチポールを連結するところまではササッと済ませられたのだが、コネクターのピンのところに異物が付着し、ソケットに入らないのだ。
「なんてこっだ。いつの間に…」
最初は、この物質の正体がわからなかった。黒ずんでいて、アスファルトのようにも思えた。それが、びったりとピンの上に貼り付いていたのだ。
「困った!これでは、トレーラーのブレーキランプやウインカーが点かない。」接続しないまま、走ると危険過ぎる、というか違法走行になる。
だからといって、どうやって修理するか?
心配して、Hさんが降りてきた。
「こじ開けられそうな工具はありませんか?」
「マイナスドライバーならあるけど。」
「やってみましょう。」
彼女が、ドライバーの先を異物に突き刺して、こじ開けた。すると、ポロッと外れたではないか!
驚いたのだが、付着していたのは、泥水で汚れた氷だったのだ。思いもしなかった。それだけ、今日は外気温が低かったのだ。
無事に接続できて、走り出すことができた。
19時01分、出発。ホッと一安心だ。
やまなみハイウェイを南下し、国道57号線に出たら右折し立野へ。新阿蘇大橋を渡って南阿蘇へ。
↓ 車- 43.1 km 1 時間 32 分 やまなみハイウェイ/県道11号 and 国道57号 経由
道の駅 あそ望の郷くぎの
に到着したのは、20時33分。トレーラーを切り離して、ヘッド車だけで、20時37分に出発。
↓ 車- 4.8 km 8 分 県道28号 経由
彼女たちの今晩の宿泊先である
熊本ゲストハウス リトルアジア南阿蘇
に到着したのは、20時46分。今日も遅くなった。
クルマを宿舎前に駐めて、まずはチェックインをしに行ってもらった。その後、クルマから荷物を降ろした。
「明日は8時30分に、迎えに来る。」と約束し、20時54分にクルマを出した。
↓ 車- 4.8 km 9 分 県道28号 経由
道の駅 あそ望の郷くぎの
に帰り着いたのは、21時03分だった。トレーラーに電源ケーブルを繋ぎ、あとはトレーラーの中でゆっくりと寛ぐつもりだった。
その前に…、ドライブレコーダーの映像をハードディスクに保存しておこう。ドラレコは運転中に遭遇した思い出深い旅の出来事を自動的に保存してくれる強力な記録ツールのひとつなのだ。
MicroSDカードをドラレコから外して、SDカードアダプタに刺し、それをSDカードケースに入れる。それを、トレーラーに持ち込んでPCからHDDに保存する。ドラレコ映像はファイルサイズが大きいので、ある程度時間を要する。転送を開始したらPCを付けっぱなしにして、勝手にやらせ、翌朝にMicroSDを先ほどと逆手順でドラレコスロットに戻すというのが一連の流れだ。
もし、HDDに保存しない時でも、トレーラーへの電源供給時は、ドラレコのスロットからMicroSDは外しておかなければならない。いや、完全に抜くのではなく、半刺し状態にするだけでも良い。とにかく録画されない状態にしておくのだ。さもないとパワースイッチをオンにしている関係上に、ドラレコも作動しつづけてしまい、時折、車の前を横切る車や人を記録することはあっても、大半は駐車中の微動さえしない暗闇画像を一晩中録画しつづけて、結果的に大切な走行時に記録されたデータが上書き消去されてしまうのだ。
それで、いつものようにドラレコ本体からMicroSDカードを取り出そうとしたその瞬間、指先のしびれのために、不覚にも指先からMicroSDがポロッとこぼれ落ちてしまったのだ。しかも、運転席側から座席に両膝をついて、左手は助手席に置いて身体を支え、右手でドラレコのスロットを探すという不安定で無精がやり方も災いした。
「あっ!どこに行った?」
事もあろうにパーキングブレーキレバーの付け根の隙間に落としてしまった。上から懐中電灯で照らすと、奥の方に金色の小さなカード端子が光っているのを確認できた。ただでさえ、凍傷になりかけた指先が回復するかも分からないのに、このしびれのためにきちんと掴めているのかも分からないで、事故が起こる。このように次々に連鎖的に不幸なことが起こっているのだ。まさに泣きっ面に蜂状態だ。
さあどうしよう…。とても手は入らないし、ピンセットもない。
割り箸は入るか? 箸を恐る恐る入れてみると…入ることは入るが、挟んで掴むほどの可動域はない…。
箸を1本だけ入れて、両面テープか何かでくっ付けて取り出す? いろんなことを考えながら、箸で突いていると…。
「あっ!見えなくなった!」
奥の隙間に潜り込んだようだ。もうこれで万事休すだ。こうなると、パーキングブレーキのカバーを外す以外に道は無い。だが、それをやる技術もない…。他に予備のMicroSDカードもないので、取り出すまではドラレコ映像を撮ることができなくなった…。
「なんてこった…。」
一気に失意のどん底にたたき落とされた。
「でも、やむを得んな…。悔やんでも仕方がない…。今は諦めて、部屋でゆっくりしよう。お腹も空いたことだし…。」
トレーラーに入って、いざ、食事の準備を始めようとした矢先、なんと調理用の水がないことに気付いた。トリプルパンチの大ショック!
今日一日、ハードに動き回ったせいか、久住下山後から今まで食事のことを考えることすら忘れていたのだが、彼女らを降ろしてホッとしたせいか、急に空腹感に見舞われた。
水をどうするか…。確か…この道の駅には水場があったはず…。名水「古代の泉」だかなんとかいってたような…。
トレーラーを出て、微かな記憶を頼りに暗い中を探しに行ったのだが、見つからない。水が流れているような気配すらなかった。
「この辺じゃなかったか? 何故だろう。確かこの辺のハズなのだが…。」
でも、なぜか見つからない…。そもそも駐車場が異様に真っ暗でよく見えないのだ。それに水音もしない…。
仕方ない。ここで探しまわるより、クルマで少し走るが、湧沢津水源に行って汲んでくる方が早いような気がした。ヘッド車は、明日も単体で走るため、トレーラーとは繋いでいなかった。ただ、さっき繋いだばかりの電源ケーブルは外す必要があった。
そして、水源まで往復し、10㍑缶1つと2㍑ペットボトル2本分だけ汲んできた。うっかりして、スマホを持っていかなかったので、Googleマップのタイムラインに記録が残っていないし、ドラレコでの履歴確認もできない…。「あ~あ」って心境だ。
気を取り直して、電源ケーブルを繋いだ。そして、汲んできた水でお湯を沸かした。
巻き寿司とメンチカツ。それにカップ麺が今晩の食事。一連のごたごたのお陰で、食べ始めたのは、22時を過ぎた時間だった。
それにしても、指先のしびれが一向に改善しない。そして、身体が寒さに敏感になっている。
ほんとうにこのままで大丈夫なのだろうか…。
今回の経験で、防寒用の手袋の必要性は痛感した。防寒や撥水はもちろんのこと、着脱が容易で、装着したままスマホが操作できそうなものを探そう。それと、耳当て付きのキャップと防寒着も…。