ぐるっと長旅

中部と四国を巡る旅<1日目>リードオルガン講習会を出発日に選んで

全行程3週間におよぶ長旅に出るのは久しぶりだ。
ようやく、この日がやってきた。

三年前の秋、はじめて八方尾根にある八方池まで登った。八方池は、雪に押し出された土砂が堆積した場所に、雪解け水や雨水が溜まってできた「天然の池」で、標高2060㍍。標高1680㍍の黒菱駐車場を日の出とともに出発し、写真を撮りながら歩いた。黒菱平までのゴンドラとリフトは使わなかった。黒菱駐車場は九州で言えば、久住分かれとほぼ同じ高さにある。九州本島の最高峰は、久住連山の中岳であるが、そこでも、1791㍍なので、八方池の標高に当たる場所は九州にはない。

八方池に至るハイキングコースは、絶景スポットがいくつもあり、日本を代表する名峰を眺めることが出来るし、間近に希少で可憐な高山植物の花々を観察することが出来る。

そして、八方池に至っては、運が良ければ、背景にある白馬三山が湖面に映し出された逆さ白馬三山とともに見ることができる。それは、まさに絶景、息をのむ美しさである。どうしても、自分の目で見てみたい、それがここを目指した動機だった。

この日の天候はすばらしく、風もほとんど吹いていなかったので、八方池の湖面に美しい白馬三山が映っていた。初っぱな登山で、ここまで恵まれた風景を味わうことが出来る人はさほど多くはないだろう。

本当に恵まれていた。

八方池、その後ろに白馬三山が聳えている
天候が良くて無風の時には、湖面に白馬三山が映るまさに絶景

そして、この美しい風景を満喫している最中に、とっても印象に残る光景を目の当たりにした。

それが、下の写真だ。

ベンチに佇み、静かに白馬三山を眺める老夫婦

夫婦と思われる老齢のカップルが、一緒にここまで登ってきて、ベンチに座り、しばらく黙って白馬三山を眺めていたのだ。当時、独り身で、旅の感動を共有する相手が居なかった私にとって、その光景は微笑ましくもあり、うらやましくもあり…。今度来るときは、できれば私も連れ合いを連れてきて、同じようにあのベンチで佇みたい、その思いが脳裏に焼き付けられ、いつしか目標となった。

それから、約3年が経過した。そして、電撃的に再婚したのが半年前。

前置きが長くなってしまったが、その思いを実現させる条件は整った。それを実行に移すのが今回の第1目標だ。

第2目標は、昨年春に出会った土佐福音教会の牧師に再会すること。本来ならば昨年秋に再訪するつもりだったのだが、果たせないままになっていた。

以上2点が、今回の旅に課せられた使命だ。つまり、月末までの約3週間で、長野県と高知県を訪問し、帰ってこなければならない。

その出発日に選んだのが、9月12日(火)。この日には北九州市若松区にある日本基督教団若松教会でリードオルガン講習会が開催され、妻はそれを受講すべく、参加を申し込んでいた。

折角、北九州市まで行くのだから、戻ったりせずそのまま北上すればいいじゃないか!

それが、9月12日を、今回の“ぐるっと長旅”の出発日に定めた理由だ。

山口県、福岡県、長野県、その他 14 個の地域
<車移動> 185 km 5時間31分 <徒歩移動> 750 m 12分
自宅 10:00
↓ 車- 68.2 km 2 時間 14 分 国道3号 経由
高塔山公園 第3駐車場 12:14~12:25
↓ 車- 700 m 6 分 山手町藤木1号線 経由
日本基督教団 若松教会 12:31~12:35
↓ 徒歩- 400 m 6 分
若松の洋食店 NOAM GARDEN ノームガーデン 12:41~13:09
↓ 徒歩- 400 m 6 分
日本基督教団 若松教会 13:15~17:23
↓ 車- 650 m 10 分 山手町藤木1号線 経由
高塔山公園 第3駐車場 17:33~17:45
↓ 車- 15.8 km 50 分 国道199号 経由
エネオス ベイサイド門司SS 18:35~18:44
↓ 車- 36.4 km 1 時間 7 分 県道34号 経由
きくがわ温泉 華陽 19:50~20:52
↓ 車- 9.4 km 11 分 県道34号 経由
ゆめマート 豊田 21:03~21:05
↓ 車
- 51.8 km 1 時間 6 分
道の駅 萩しーまーと 22:11~22:25
↓ 車- 3.4 km 7 分 県道299号 経由
菊ヶ浜駐車場 22:32

今回の長旅に備えて、トレーラーにバックモニターを取り付けることにした。機材をAmazonで購入し、それをRV福岡の店長、笠原さんに頼んで取り付けてもらった。RV福岡とは、福岡県小郡市にあるアメリカントレーラー🇺🇸ヨーロッパトレーラー🇩🇪RV全般専門店だ。

私自身も、今年の2月に大野城市から久留米市の実家に引っ越し、その2ヵ月後には電撃再婚により春日市に転居したので、今回の旅の出発点になる「自宅」があるのは春日市である。トレーラーは普段は久留米市の実家の駐車場に駐めていて、この時点では小郡市のRV福岡にドッグインしていた。

出発日に一旦、小郡市まで南下してから、北九州に向けて北上するのは遠回り。しかも、自宅はマンションで駐車区画は1台分しかなく、近隣にトレーラーを駐めておける場所が思いつかない…。

どうしたものか…。どこかに、一時的に駐められる場所はないのか…。

あるとき、ふと、ひらめいた。

そうか!普段、ヘッド車を駐めている区画にトレーラーを駐め、ヘッド車を住民共用の来客者用駐車場に駐めればうまくいくかも。

ヘッド車を駐めているマンションの指定区画は通路部分が逆ユの字型になっていて、通り抜けが出来ない。その上通路は狭い。しかし、いったん奥まで突っ込んだ後、ゆっくりとバックしながらトレーラーを区画に入れ、すぐに切り離してしまえば、他の住民に迷惑をかけることは無いだろう。ただ、ヘッド車を切り離したり、繋ごうとしているときに、奥の車が出入をする場合は、待ってもらわなければならない。それだけが気がかりだった。そして、指定区画の道向かいに来客用のスペースが1台分ある。そこが空いていれば、ヘッド車が駐められるし、仮に空いていなくても、普通車を駐める駐車場は幾つかある。今回取り付けたバックモニターの有効性の検証にもなるので、やってみることにした。

前日の夜のうちに、小郡からトレーラーを自宅マンションの駐車場まで引いてきた。そして、いよいよバックで区画に入れる。

バックモニターによって、後にどこまで下げられるかは明確にわかるようになった。バックモニターのあるとなしでは雲泥の差だ。しかし、左右については慣れの必要を感じた。目視とモニター映像を細かく比較しながら、少しずつ下げた。

結果的には、何一つ心配することは無かった。バックモニターは有効に機能したし、トレーラーを区画に駐める際も、他のクルマの障害になることは無かった。

取り越し苦労だったのだ。

そして、いよいよ出発日の朝を迎えた。

トレーラーが自宅にあると、室内の整理整頓や荷物の積み下ろしなどに重宝する。

リードオルガン講習会の開始時刻は13時30分。その前に高塔山公園の駐車場にトレーラーを駐めて、近隣の食堂で昼食をとることにしても、春日の自宅は10時に出れば十分だ。これからの長旅に備えて、装備の確認と積み込み、そして今晩の停泊候補地を探した。

出発予定時刻になったので、ヘッド車を連結し、10時ちょうどに出発した。

出発後は、宇美町に抜け、筑紫野古賀線を北上。そして、古賀市から国道3号線を走り、遠賀川を渡って国道199号線に入り、若松教会近くの高塔山公園へ向かった。

に到着したのは、12時14分。こちらは利用者が少なく、閑散としているので、トレーラーを置いておくにはちょうど良い。第1駐車場だと、公衆トイレや広場、若戸大橋が望める展望台に近いためか、多くの車が出入りし、区画の使用率が高い。そのような場所だとトレーラーを置くのには、少々気が引けてしまう。

トレーラーを切り離し、ヘッド車1台で駐車場を出たのは、12時25分。

↓ 車- 700 m 6 分 山手町藤木1号線 経由

そして、

に到着したのは、12時半頃。

まだ、講習会の開始時刻までは1時間近くあるので、講習会の参加者はまだ誰も来ていない。

とりあえず車を駐車場に駐めて、早々に教会の方に挨拶を済ませて、歩いて探しておいた食堂に向かう。

探していた店とは

だ。12時41分に入店。レトロな外装だが、2023年1月にオープンしたばかりの新しい店だ。若松出身の店主が「若松にこんな店があったらいいな」を具現化した洋食レストランで、こぢんまりとしたつくりだが、次々にお客さんが入ってくるので、すでに人気店になっているようだ。

外観
入口にある案内板

営業時間は11時から21時で、ラストオーダーは20時30分。木曜日が定休日。

メニュー

カレーを2品、オーダーした。

私たちが座ったふたり掛けのテーブル席
2色ライスのキーマカレー
とろとろオムレツカレー

若松産のトマトをふんだんに使っているらしく酸味があり、コクと相まって確かにうまい。ベースの辛さは抑えられているので、別に辛味スパイスが添えられている。見た目も美しく上品な感じ。

木の温もりが感じられるナチュラルな雰囲気で、落ち着くのだが、リードオルガン講習会が13時半に始まってしまうので、ゆったり過ごすわけにはいかない。滞在時間もカレーの量も、もうちょっとほしいなぁとの思いを抱きつつ、13時09分に店を出た。

に戻ったのは13時15分頃。

今回の講習会は「リードオルガンレッスン基本の「き」part4」と題し、リードオルガン奏法(足踏み)と讃美歌について、特に今回は「葬儀」に関する讃美歌と奏楽曲の指導がメインに据えられている。

リードオルガンは、足踏みオルガンとも言われ、足踏みペダルを踏むことで小袋が動き、大袋内が減圧される。そして、鍵盤を押すと、リードと呼ばれる部品に空気が流れ、押した鍵盤の音が出る。そのような構造になっている。つまり、足踏み仕方がストレートに音色に影響する。ここが電子オルガンとの大きな違いであり、繊細な音を出すには、それ相応の足踏み技術が要求されるのだ。

今回の講師は、日本リードオルガン協会九州・沖縄支部支部長、関西キリスト教音楽講習会講師、日本キリスト教団福岡女学院教会奏楽者の肩書きを持つ多田なおみ先生。小学校6年生の時から名古屋中央教会の教会学校で奏楽を始め、1997年に若松教会に転会された後、1999年から毎年、リードオルガンコンサートを開催されている方で、妻の指導者でもある。

ということで、妻が礼拝堂の一番前の席に座ったので、私もその横に座って、傍聴することにした。

今回のレジュメ
研修会場になっている若松教会礼拝堂

第1部は全体レッスン。10分間の休憩を挟んで、みっちりと2時間半行われた。そして、また、10分間の休憩の後、第2部の個人レッスンが70分間行われた。

私は第1部を聴講したが、個人レッスンの時間は礼拝堂の後ろの席に移り、内職をはじめた。つまり、今回の旅の準備である。この後、今日はどういうルートでどこまで走るのか…。そのことすらまだ未決定なのだから…。

すべての研修が終わって、教会を出たのは17時30分過ぎ。

に戻ってきたのは、17時40分頃。

さっさとトレーラーをヘッド車に連結し、17時45分には出発した。

高塔山を下り、若戸大橋を渡った。そして、199号線を走り、関門国道トンネルを目指す。

しかし、本州に出ると、ガソリン単価が高くなるかもしれないとの不安が過り、後悔しないよう渡る前に給油しておくことにした。

それはいいのだが、どこが最安値なのか、横を通りながら見抜くのは不可能に近い。えり好みをしながら、いくつか通過して、結局は根拠の無いままに、立ち寄るスタンドを決めてしまう…。

もう後が無い…、ということで

に滑り込んだのが、18時35分

通過した店の中に、もっと安いところがあったと思いつつ、ここで満タンに給油した。

単価は、リッター177円。

本当に高くなったものだ。

18時44分、出発。そして、いよいよ九州を出て、本州へ!

関門国道トンネル

ガソリンスタンド探しが終わった後は、入浴施設探し。Googleマップに“日帰り入浴”のキーワードで検索すると、幾つかの施設が表示されるが、営業時間はほとんどが21時まで。

1時間ほどゆったりと湯船に浸かって疲れを癒やすためには、施設に20時以前に到着しなければならない。しかも、眠気も多少ある。長距離を短時間で走るのは難しそうだ。

だとすると、長門湯本温泉や俵山温泉は間に合わない。

ということで、近場を検索し、選んだところは

だった。走ってみると、到着時刻は19時50分。ちょうどいい時間に着いた。

しかも、ホテルサングリーン菊川や下関市菊川温泉プールと共同の駐車場のため、広く、トレーラーを連結したままでの駐車も可能だ。

施設は古さを感じさせるものの、掃除は行き届いていて、気持ちよい。入口の券売機で入浴券を購入し、受付に出す形式。詳細は、公式サイトを確認してほしいが。料金はリーズナブルで、広めの加温した内湯と源泉のままで加温しない源泉浴槽、それに露天風呂があり、洗い場も広い。

泉質はナトリウム・炭酸水素塩・塩化物温泉。源泉温度が32.8℃なので、源泉浴槽以外は41.0℃まで加温している。

小一時間、ゆったりと湯に浸かって、20時52分に出発。

風呂上がりは睡魔が襲ってくることもしばしば。そこで、どこかに店があったら立ち寄るつもりで走っていると、右手にスーパーらしき建物が目に入ったので、駐車場に進入した。

その店は

に着いたのは、22時11分。今日はこれ以上、進むのをやめ、この辺で泊まることにした。

しかし、この道の駅は漁港と市場に隣接しているので、もしかすると早朝からたくさんの来客で賑わうのではないか?と、不安が過った。

もう一度、近郊にある駐車場を調べると…。

菊ヶ浜駐車場というところが見つかった。ここに移動しよう。

22時25分、移動開始。

 には、22時32分着。アウトリガーを降ろす前に、ここで泊まれるかをチェックした。トイレは新しくはないが、24時間利用可能。駐車場の前の道は、夜間の交通量はほとんどなく静か。

海岸までは出なかったが、快適そうだ。今夜はここに泊まろう。

ということで、ほとんど何もせず、就寝準備を整えただけで、さっさとトレーラーのベッドに潜り込んだ。

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