紅葉の高千穂・阿蘇・九重を訪ねて[出発前日から2日目午前中]大観望を初めとする展望台と焼肉水源
出発日前日のこと
出発日前日とは2020年11月7日(土)のこと。
九州でも各地で紅葉の見頃を迎えている。しかも今後の一週間は、またとないような晴天続きの予報が出されている。南阿蘇、高千穂、そして九重…、 きっと今、紅葉でどこに行っても感動できるに違いない。これは旅立つしかないんじゃないのか?!
しかし、明日の日曜日は、久留米のとある場所で、一日中会議その他で拘束されると決まっていた。だから、一旦帰宅して、体調を整えて出発し直すのか…、それともそのままノリと気合いで旅立つのか…。
でも、どうせ南下するのだから、一旦、自宅に帰るのは無駄に走行距離を増やすことになる。やはり、久留米には最初からトレーラーを引いていこう!
そして、この日の夕食は実家の両親と外食し、そのまま実家に泊まることにした。
今回のふらり旅 1日目
2020年11月8日(日)。役目から解放されて会場を出たのは20時だった。
実家に戻って、大河ドラマ「麒麟が来る」を観ながら、遅めの夕食をとった。
疲れていたこともあり、しばらくゆったりと過ごした。
実家を出たのは22時。とあるところでトレーラーを連結し、出発。
県道82号・国道3号経由で25.7 km、45 分走って
道の駅 鹿北
に到着した。22時55分だった。ふらり旅は行動の自由度が高い。これが逆に仇となって、今後の行動予定の絞り込みに苦慮することがある。
さて、今日はどうしたものか…。今から風呂にも入りたいが、入れる場所はあるのか…、そして、どこまで走って寝るのか…。
スマホで検索するのは見づらいし、疲れのせいもあって、なかなか意思決定が進まない。
さくら湯は、営業時間が、6時~24時までで入浴料が350円とお得だが、トレーラーを引いた状態だと駐車場に駐められそうにない。
千代湯は、営業時間が、10時~24時。入浴料は300円とさらにお得で、駐車場も何とかなりそうなのだが、不安が残る。いざとなったら隣のドラッグストアモリにお願いすればいいのかもしれないが…、今ひとつすっきりしない。
それに、今日はどこまで走るのか…。
道の駅 水辺プラザかもと? 道の駅 旭志? それとも、いっそのこと大観望まで行ってしまう?
風呂に寄ったりすれば、目的地への到着時間がますます遅くなる。果たしてそれでいいのか…。
なかなか決断が付かないまま、スマホと格闘し、時間ばかりが過ぎていった。
仕方ない。結局、入浴は断念し、一気に大観望を目指すことにした。
<後日談> 山鹿温泉でトレーラーを牽引中でも駐車できて、23時過ぎでも入浴できる施設は、幾つかあった。 山鹿どんぐり村は、営業時間が10時~翌朝7時30分。入浴料は500円。ただし、浴室にシャンプー類は備えていないので、持参せずに必要ならば購入することになる。 ならのさこ温泉いやしの湯は、営業時間が10時~24時、入浴料は550円。シャンプー類は備え付け。
23時18分に道の駅鹿北を出発。国道325号から10月3日に新しく開通した国道57号北部復興道路に乗り継いた。その距離54.7 kmを1 時間 18 分で走って
二重峠展望台
に、0時36分に着いた。ちなみにここは「にじゅうとうげ」ではなく「ふたえのとうげ」と読むそうだ。3分間ほど、空の星と街の灯りを観て、先を急ぐことにした。
ところが、うっかりとして、大観望の入口に気付くのが遅れ、通り過ぎてしまった。これによってUターン可能な場所を探しながら、さらに直進する羽目になった。このミスはときどき起こるが、実にもったいない。まぁ、たまには瓢箪から駒のようなことが起こる場合もあるが…。
大観望入口から約1㎞先で、Uターンでき、無事に大観望に到着することができた。二重峠から19.7 km、49分の移動だった。
大観峰 展望所
に到着したのは1時25分。しかし、夜間中はゲートが閉まっていて茶店側の駐車場にクルマの進入はできない。なので、ゲート前の駐車場に駐めた。ここには大型6台、普通車13台の駐車スペースがある。そして、その先の向かい側に未舗装だが駐車スペースがある。
到着はかなり遅くなったが、翌朝、起きさえすれば日の出も拝める、そんな安心感があった。
ベッドを整え、短い時間だがぐっすりと眠った。
そして、翌朝…
2020年11月9日(月)。出発後2日目の朝を迎えた。
6時頃、目が覚めた。日の出前だが外はだいぶ明るくなっていた。とりあえず急いで着替えて、カメラを持って車外に飛び出した。
6時25分。ゲートはまだ閉まったままだったので、その横を歩いて通り抜け、左側の斜面に延びる小道に入ってみた。
寒い。そして、指先がとても冷たい。
6時40分、日の出。
大観望の駐車場から突端までのGoogleマップ航空写真は以下の通り。
茶店の前を通って、阿蘇北デジタルテレビ中継局の先へ移動。
さらに先に進んで、大観望の突端へ。
突端から少し戻って、石碑のある高台へ。
それにしても、外は寒いし、手がかじかむ。しかもまだ眠い。
一旦、トレーラーに戻り、仮眠をとることにした。
目が覚めたとき、2時間以上が経過していることに気付いた。ゲートはとっくに開き、多くのクルマが茶店前の駐車場に停まっていた。平日の朝なのに、意外と観光客が大勢、訪れていた。
本来ならシャッターを切って、ここにその様子を貼り付ければ良いのだが、気持ちが乗らず、写真を残すことができなかった。昨日の疲れと、今朝の日の出の時間帯にお気に入りの写真が撮れなかったことが、テンション低迷の主な原因だと思う。
気分が晴れないまま、10時22分に大観望を出た。そして国道212号線で道の駅阿蘇を目指した。トレーラーを切り離し、身軽になって周辺を散策するためだ。
走り出して間もない、4.6 km、6 分走ったところに無名のビュースポットがあったので、とっさにハンドルを左に切り、駐車スペースにクルマを駐めた。
すると標識の下に小さく「山田駐車場」との標記があった。
山田駐車場
に到着したのは10時28分。
大観望よりも多少、高度が下がっているものの大観望の突端から真南方向に663㍍進んだ地点に位置するため、迫力のある阿蘇五岳を望むことができる。
しかし、まだ精神的には、テンションが下がったままだったので、
「大観望からの風景と代わり映えしないなぁ」程度の気持ちでしか捉えられなかった。
反対側、つまり大観望方面の斜面を観ても、確かに紅葉が始まっていて色づいてはいるのだが、まだ少し早い感じ…といちゃもんに近い感情が支配した。しかも、斜面の紅葉だけを撮っても絵にならない、なんて、全く後ろ向きのダメダメ状態だった。
ところが間もなく、1台のクルマがやってきた。そして、中から20代前半の若い女性3人組が降りてきたのだ。一挙手一投足にまぶしいほどの喜びと楽しさがあふれ出ている。
阿蘇五岳の山々を観てははしゃぎ、大観望側の紅葉を観ては感動している。どちら向きに写真を撮るか、3人でああでもないこうでもないと、会話が弾んでいる。
そして、急に静かになったと思ったら、こそこそっと打ち合わせをした後、そのうちのひとりが私に近づいてきて
「あの~、すみません。シャッターを押して頂けませんか?」
「あ~、もちろん良いですよ。」
すると、スマホを私に渡し、
「ありがとうございます。ここを押してください。」
と画面上の白丸部分を指さした。
「どちら向きに撮りましょうかねぇ。」
阿蘇五岳を背景にするか、紅葉を背景にするか…どちらで撮ってもらいたいかと問うと
「どちら向きが良いでしょうか?」
と逆質問を投げ返され、委ねられた形になった。
「どちらから来られたのですか?」
「愛知県です!」
「え~、愛知県からクルマで?」
「いえいえ、飛行機で来て、レンタカーを借りました。」
そうか。そうだよねぇ。なんでもクルマで移動することを最優先に考えてしまう自分の感覚で他人を観てしまう癖がポロッと出てしまった。
「ああ、それなら、やはり阿蘇五岳を背景にする方が良いかもねぇ。そうかぁ、でも逆光になってしまうねぇ~」
といいながら、3人にポーズをとってもらい、阿蘇を背景にシャッターを切った。
「もう1枚いきましょう。はいポーズ。」
なかなか良い写真が撮れたように思う。自分のカメラでも撮りたかったほどだ。モデルが良いと風景も引き立つ。
「ありがとうございます。」
「いいえ~、どういたしまして。綺麗に写ってなかったら、言ってくださいね。」
といって、スマホを返した。3人は、写真を確認しながら、「ねぇねぇ、写真、上手くない?」なんて、こそこそっと喋っている。
聞こえるか聞こえないかの絶妙の音量で、こっそり褒めてくれるところが、ほんとうの上手。お上手が上手。一気にテンションが回復した。
彼女たちは引き続き、大観望側を背景にしても写真を撮ろうとしているようだった。
「なんなら、今度はこちらを背景にして撮りましょうか?」
と今度はこちらから声を掛けると、彼女たちは
「ありがとうございます。」
と言って、スマホを手渡し、3人は並んでポーズを決めた。
紅葉だけの写真だと物足りなく感じたのだが、いいモデルが入ると全然違う。
「ちゃんと写っていますかね?」
と言いながら、スマホを返し、写真を確認してもらった。
「大丈夫です。ありがとうございます。」
「それじゃぁ、行きますね。」
「ありがとうございました。それでは、気をつけて~。」
「あなたたちもね。(九州を)楽しんでください。」
10時35分。私はクルマに戻り、一連のスタート操作を済ませて、ブレーキを緩め、クリープ現象でクルマが動き出したとき、遠くから彼女たちが手を振っている姿が目に入った。見送ってくれていたのだ。こちらも手を振りながら車道に出た。
いつの間にか、爽やかで晴れ晴れとした気分になっていた。
山田駐車場から7.7 kmを18 分で走って
道の駅阿蘇第2駐車場
に10時52分、到着。第2駐車場は、国道57号線を隔てた反対側にあるので、仮に第1駐車場が混雑していても、こちらは空いていることが多い。
トレーラーを切り離し、ヘッド車だけで、周辺をドライブすることにした。その前に、一気に空腹感が襲ってきた。これも元気になった証拠だ。
ドライブイン水源に電話をかけた。本日、営業するかを問うと、最近は主に土日と予約の入った日だけ営業しているとのこと。今週は、水曜日に予約が入ったので開けるということだった。
ドライブイン水源は、山菜バイキングのお店。確か6年ほど前に初めて出会って、年に数回のペースで通うようになった。種類の豊富さと味の良さ、なのにどれだけ食べても780円(当時)の安さに感動して、一発でお気に入りの店になった。途中で出てくるだんご汁が普通サイズで盛られて運ばれてくるので、このことを知らずに、その前の段階で調子に乗って山菜バイキングを取り過ぎていると、このだんご汁でお腹いっぱいになり過ぎて苦労する。時折、季節の揚げたて天ぷらが途中で運ばれて追加される。これがサクサクしていて何回もおかわりしてしまう。おじいちゃんのコトコト煮込んだカレーは絶品なので、お腹が満たされているのに、無理してでも食べてしまう。締めというかとどめはぜんざいになっていて、大満腹の大満足になる。親切で気さくな上に、たくさん食べれば食べるほど喜んでくださるお店の皆さんに感動したし、一方でこれだけの料金で何故経営が成り立つのかと不思議に感じながら、近くだったらしょっちゅう通いたいと思う店になった。
でも、2016年の熊本地震でお店の前の道が長い間、全面通行止めとなり、その間、店を閉めざるをえなかったようだ。再開までに1年半ほど掛かったようでお店の方達も辛かったと思うが、再開を待ちわびた私たちも辛かった。不定休ながら復活してくれたのは喜ばしい限りだ。
今日は、休みなのかぁ~、まぁ、仕方が無い。
続いて、焼肉水源に電話を入れた。すると、繋がり、いつもの元気に働くおばあちゃんの声が聞こえた。
「今日は、お店は開いていますか?」
「開けますよ~」
「何時からですか?」
「11時半から開けます。」
「分かりました~。ありがとうございます。」
「どうぞ~、宜しくお願いします~」
しめた!焼肉水源は営業中だ。ならばここで、お腹いっぱい食べよう!
焼肉水源も、山菜バイキング(税別1,000円)をベースに、山菜バイキング+焼肉食べ放題(税別1,500円)や、山菜バイキング+やまめの塩焼き(税別1,500円)などのメニューがある。こちらの店は、若干高めだが、焼肉や魚とのセットができるので、トータルで考えればリーズナブルだ。水曜日が定休日で、その他は基本的に営業日だ。
10時59分出発。焼肉食べ放題を付けるか付けないかをじっくりと考えながらクルマを転がした。
焼肉水源に行くには、今来た道を戻ることになる。そして、大観望近くの国道212号線とミルクロードの交差点を左折して、菊池渓谷方面に走って行くとその途中にある。
道の駅阿蘇第2駐車場を出て、国道212号線を7分ほど走ったところの左手に小さな山?丘?が2つ並んで見えた。
これは、阿蘇登山道路吉田線の途中にある展望スポットからもよく見えるのだが、外輪山までの広がる田園風景の中にここだけポツンポツンと小さな山があって気になっていた。
単なる小さな山なのか、それとも古墳などの遺跡?
好奇心がうずくので寄り道することにした。
次の信号のある交差点には、「阿蘇市農村公園「あぴか」入口」とあったので左折。2つの山の東側に農村公園「あぴか」はあった。
右手前の角を左折して、奥に進むとあぴかの南側駐車場があったので、駐めた。広々とした駐車場でトイレもある。
この段階では、あぴかの全体像は掴めなかったが、興味があるのは2つの山。あぴかの南側を西の角まで進んでみたが、その先には行きにくい雰囲気だったので引き返し、今度は北側の道を菱に走り、山の向こう側をクルマで走ってみた。
ざっと走っただけだったので、今回は山への登山道や駐車スペースを見つけ出すことができなかった。もちろん、山の正体も掴めないままで終わった。
空腹感がマックスに近づいたので、先を急ぐことにした。山周辺をゆっくり回って遠回りした結果、18.6 kmを1 時間 7 分掛かってしまったが無事
焼肉水源
に、12時05分に到着した。
入店すると、すでに2組ほどお客さんが入っていた。店内にはテーブル席と座敷があるが、バイキングなのでテーブル席が便利。
コロナでの休業、客の激減と再開後の設備投資もあってだろう直接聞いたわけではないが、前回訪れたときの料金が税込み料金だったものが、今回は税別金額に値上げになっていた。これもやむを得ないだろう。
山菜バイキング+焼肉食べ放題コースを注文した。税込みで1,650円だ。
山菜バイキングのコーナーはすべて透明ビニールのすだれが張られ、取り箸は自分専用の割り箸が配布された。これを使って他人と共用させないようになっている。焼肉用のトングも同様で、すべて未使用の中から1つ取り、肉を自分の取り皿に盛った後、使用済みのところ戻す形、サラダは大皿から撮るのではなく、弁当などに使う使い捨てフードカップに初めから小分けされて、それにラップを掛けて並べてある。
準備の手間が大幅に増えたに違いない。
私が座ったテーブルの右壁に、バイキングを楽しむ上での注意事項が張られている。写真を撮っていれば、一目瞭然だったのだが、いわゆる全く基本的なことが記載されている。
要約すると、「何度でもおかわりして良いので、食べ残しのないようにしてほしい。」と「食べ残しと食材の持ち帰りは厳禁」ということだ。食材が無駄に消費されると収益率の低下から値上げに発展しかねないので、このルールは基本中の基本だと思うのだが、大々的に掲示されているということは、これが守られない場面も時にはあるということなのか…。
私は一度目として、これだけ揃えてみた。できるだけ一つひとつを少量ずつ取って、全種類を制覇したいと思うのだが、なかなか上手くいかない。
かなりお腹が空いていたので、これぐらい軽いと思っていたのだが、じっくりと時間を掛けて焼いて食べるせいか、1回目で腹八分目ほどにはなってしまった。
なので、2回目は用心してほんの少量のおかわりでとどめた。
空腹が度を過ぎると逆に入らないのか、それともゆっくり食べたから入らなかったのか…、それともいいたくない別の理由が最大の原因なのか…。
気持ちはもっと食べたかったのだが、身体(お腹)がついてこないので、ここでご馳走様。
支払い時にお礼の言葉を添えて、13時16分に店を出た。
さて、お腹も満たされたので、行動力が復活した。菊池渓谷に行けば、まさに紅葉の見頃になっているのだろうが、あまりにメジャーなため、もっと穴場的なスポットを探したくなった。
(2日目午後へ続く)