ふらり旅

樹氷が見たい![2日目②]池山水源と産山よろず「がまだす堂」を訪ねる

牧ノ戸峠を出発

朝早くから山に入っていた方は戻りも早いようだ。私の右斜め前に駐まっていたクルマ2台(赤)が昼過ぎには出発してくれていたので、私も一度の切り返しで出発できた。

もし、赤の場所にクルマが停まったままだったら、ヘッドを一旦切り離し、向きを変えてから付け直して出ることになる。

牧ノ戸峠を出たのは、13時20分過ぎ。牧ノ戸峠の北側には飯田高原、南側には瀬の本高原があるが、この時間ならどちらに降りても、路面に雪は残ってないだろう。しかし、用心に用心を重ねて瀬の本高原方面に降りることにした。

<牧ノ戸峠第2駐車場イメージ図>
私のヘッド車とトレーラーが綠、他の方々のクルマを赤と青で現している

美味しい水を求めて、池山水源へ

下りはじめると、峠よりも標高の低い場所にはほとんど雪が残っていなかった。

折角なので産山村にある池山水源を訪ねることにした。
ここは、 1985年(昭和60年)に(昭和の)名水百選に選ばれた由緒ある湧水。恒温13.5℃、毎分30トンの豊富な水量をほこっている。 夏だと冷たくて気持ち良い水が、冬だとさほど冷たく感じないので、水汲みの際にペットボトルを持つ手がかじかむということもない。駐車場の下に水汲み場が整備される前は、駐車場から歩道を200㍍ほど歩いて水源に行き、直接水源から汲みだしていたように思う。30年ほど前の話だ。今は、駐車場の下の汲み場まで水が引かれており、美味しい水が4本のパイプから止め処なく流れ出ている。そこには、クルマを横付けできるので、楽に水汲みができる。

給水だけが目的の時には、水汲み場で水を汲みさえすれば、さっさと次の目的地を目指して出発するのだが、今回は久しぶりに水源そのものを訪ねることにした。

産山よろず「がまだす堂」

「がまだす堂」は、駐車場から水源に向かう左手にあるカフェ。

土曜日の午後にもかかわらず、お店の周辺はひっそりとしていた。水源にあるカフェなので、珈琲の味にも期待が高鳴る。果たして今日は、営業しているのだろうか…。

中に入ると店内には誰もおらずひっそりとしていた。土産物コーナーから反対側の奥を見ると、アンティークな柱時計やテーブル、薪ストーブが目に入る。

「すみませーん」

声を掛けると、奥の方から女性が出てこられたので、珈琲をお願いした。

「ドリップしますか? 濃いめと薄めのどちらされますか?」

と質問された。ドリップするかどうかの意味を掴みかねていたのだが、

「では、薄めでお願いします」

とオーダーした。

丸テーブルのところに座ると、下からどっしりとした猫が顔を出した。子猫のまだ小さい時にもらった猫だそうだ。それも今ではかんろくのある母猫に成長していた。

「入口の所に、子猫がバスケットの中で寝ていたでしょう。それが、この子のこどもです。」

子猫がいたことに気付いていなかったので、珈琲が出てくるまでの間に、もう一度、店内をぐるっと一回り。そして、バスケットの中で仲良く眠っている子猫を見つけて写真に収めた。

席に戻った。

奥さんに聞くと店を始めて5年目だそうだ。でも、建物の風格からみて、5年は短いと疑問に感じていたので、そのことを伝えると、この建物ができて30年ほどになるが、オーナーとしては8代目ということだった。スローライフや有機農法に関心があったので、埼玉からこの地に移住してきたそうだ。

オーナーは話し好きで感じの良い方だった。ここに店を構えて5年間のエピソードの数々、都会から田舎に移って経験した身近な出来事から政治や国際情勢に至るまで多岐にわたる話題で、会話が弾んだ。

私はコーヒーをおかわりした。今度は、濃いめの方をオーダー。さらに会話が続く…

特に盛り上がったのは、食品添加物の話。加工食品によって簡単・便利で見栄えも良くてオイシイものが安く提供されるようになったが、それを無自覚に受け容れていると、一方で失うもの、犠牲になるものが生じるという話だ。地元で食品添加物に関する講演会を企画したり、田舎に移住しスローライフを実践している方やオーガニック食材を作っている方などとのネットワークを構築し、交流しておられるようだ。食べ物がちゃんとしていれば体調も整うし、疲れにくい身体になるというのだ。そして、太らない!と。私も以前、精神医学的障害や3大成人病などの発症率と食品添加物等の利用率の折れ線グラフが酷似していることを指摘し、憂慮する声を聞いたことがあったので、食品添加物を無批判に受け容れているわけではなかったが、これまで以上に興味・関心が強くなった。

楽しい語らいの時間はあっという間に過ぎる。気付けば池山水源に来てから2時間が経過していた。私にとっては美味しい珈琲をいただき、居心地の良い場所でゆったりと過ごさせていただいたのだが、お店にとっては観光客不足は死活問題。かといって忙しい状態を目指して頑張るのが良いのかというとスローライフの趣旨に反するような気もする。せめて、ある程度の景気回復と日韓関係の改善による旅行者数の回復を願わざるを得なかった。

そういえば、このGamadasという言葉。どこの国の言語かと思いきや、熊本県工業連合会のWebサイトを見て驚いた。「Gamadas(がまだす)とは、熊本の方言で〝精一杯がんばる、正直者〟という意味です。」と記載されていたのだ。

「がまだす堂」さんには今後とも、この地で美味しいコーヒーと食事、そして憩いの場を提供していって頂ければ…、という思いを強くした。また、池山水源に水汲みに行った際は、ぜひお邪魔させて頂きたい。

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